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甘いものは苦手なんです。

※「とししたのおんなのこ」関連話。女性同士の恋愛要素を含みます。

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菫色の彼女

※「とししたのおんなのこ」の関連話。女性同士の恋愛要素を含むお話です。
先週更新できなかった分。

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とししたのおんなのこ

※女性同士の恋愛要素、キス表現を含みます。

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冬のお裾分け

これを書いた時は大雪が降るなんて微塵も思ってなかった。そんな感じの話




「見て見て、兄さん、ほら、雪だよ、雪」
「やめろ、ばか、オレを殺す気か、おい!」
 容赦なく閉め切った窓を開け放ったこがねが、今まさにジャージを脱ぎ去ろうとしたオレの悲鳴に反応して小さく首を傾げる。その背後から凄まじく吹き込んでくる真冬の洗礼にオレの体はあっという間に温もりを失い、耐えきれず畳んであった布団に突っ込んだ。
「ああ、兄さん、布団片付けるんだから散らかさないでよ~」
「うっせ、お前がいきなり窓なんか開けるからだろ! さみぃー!」
「だって、雪が積もってるんだもの」
 雪が積もってるのはそうだろうよ、昨日もざっくざく降ってやがったみたいだしな。まったく、寒さ嫌いのオレへの嫌がらせにもほどがあるぜ。太陽の光を反射してぎらぎらと光る外を睨みつけているオレを他所に、こがねは楽しそうに窓際に頬杖を付いた。
「こんなに綺麗なのに、見ないなんてもったいないよ、兄さん」
「綺麗もくそもあるか。雪なんてさみぃだけじゃんか」
「本当に兄さんは寒がりだなあ。空気も澄んでるし、気持ちがいいのに」
 それは寒さ好きなお前だから言えることだぞ、こがね。
 今にも雪の世界に飛び出したいと言わんばかりに、うきうきと体を揺らしている。朝飯が済んだら速攻外に出るだろうなあ。何せ久々の雪だ、思う存分堪能したいはずだし。
「あー、さみぃ」
「ねえ、兄さんもたまには冬の景色を堪能しない? 冬になってからずーっと家の中じゃ、新作のゲームも買いに行けないでしょ?」
「断る。春になったら貯めたバイト代でいくらでも買えるから」
「もう。じゃあ僕は与作と思い切り雪を楽しむことにするよ」
「あー、そうしとけ、そうしとけ。それより、こがね、メシ」
「はいはい」
 軽く肩を竦めたこがねが苦笑しながら立ち上がる。
 部屋中にみそ汁の匂いが広がるまで、オレは畳んだ布団の隙間に挟まって温まることにした。

「ほら、与作、行くよ~」
 こがねの楽しそうな笑い声と、与作の上機嫌な鳴き声をバックに、俺は今日もネットサーフィンに勤しむ。やっぱ冬は外に出ずにこたつに入ってネットかテレビだろ。こがねみたいに好き好んで寒空の下、体を動かすとかいう苦行は絶対やらない。冬は籠るためにあるんだと思うからな。
 これが夏だったら、オレとこがねは逆になるのにな。
 ふと、動画再生を止めて、閉め切った窓の外で駆け回るこがねの笑顔を見やる。
 夏になると、俺はこがねみたいになって、こがねは俺みたいになる。
「夏なんて嫌だ。早く冬になってほしいよ」
 毎日のように遊びに出かけるオレに、扇風機の前で涼むこがねはいつも不機嫌そうな瞳を向けていたものだ。
「こがねもたまにゃ外で体動かせよ」
「やだ。暑いし、焼けるもん」
「外で食うアイスは美味いぞ?」
「扇風機の前で食べるアイスの方が美味しいよ」
 こんな感じで言い返して、こがねは決して外に出ようとしなかった。
 そんなこがねにオレはよく土産を持って帰ってきてやったもんだ。
「ほら、こがね」
「! ……どうしたの、この向日葵」
「夏を楽しめないお前に、夏を楽しんでもらいたかったんだよ。これなら、暑くないし、綺麗だろ?」
「……うん、ありがとう、兄さん」
 それは向日葵だったりカブトムシだったり、夏を感じられるものでこがねが受け入れられそうなものは何でも揃えた。その度にこがねが嬉しそうに笑ってくれるのが嬉しかったもんだから、土産は必ず手にして帰ったもんだ。
「さん、兄さん! 開けて」
 と、夏の思い出をぼんやり浮かべていたら、窓ガラスを叩く音で我に返る。見ればこがねが灰色の手袋に包まれた拳で窓を叩いていた。
「何だよ……さみぃのに」
 コタツごと移動したい気持ちを堪えて、両腕を擦りながら窓を開けると、頬に刺すような寒さが覆ってきた。
「さむ」
「はい」
 さむい、と弱音を吐こうとしたオレの目の前に現われたのは、こがねの白い手の中に収まる真っ白でまるっこい体をした「ウサギ」だった。目にあたる部分はこがねがその細い指で穴を二つ開けており、その長い耳は生えていた雑草を挿していた。
「冬の、お裾分けだよ」
「……おお」
「ごめんね、本当はもっとたくさん持ってきてみせたいものがあるんだけど……いっぱいありすぎちゃって僕、なかなか選べなかったから」
 ちょこん、とそのウサギを窓際に置くと、こがねはにっこりと笑った。
「ごめんね、寒かったでしょ。僕、与作と遊んでくるね」
「おぅ」
 ぱたん、と窓を閉め切ると、再び背中を向けて与作と雪の世界に飛び込んで行った。
 ……冬のお裾分け、ねえ。
「あいつ、意外に器用だな」
 くす、と笑みを浮かべて窓越しに雪ウサギを突いた。

ふたりぼっちハピネス更新です

すっかりブログのタイトルの金曜日更新ができなくなっているとか…うーむ。
ふたりぼっちハピネスに追加更新しました。カテゴリ不定期更新からどうぞ。愛妻の日記念

なかなおり

※先週更新予定だったもの。今週分と合わせて更新です。

 カレンダーの隣に掛けた鳩時計を、もう何時間もずっと見続けている。
 長い針が十二に辿り着き、小さな窓から木彫りの鳩が顔を出すという一連の行動を、飽きもせずずっと。ううん、本当はもう既に飽きてる。だけどもその他にやることが思い浮かばない。私の手足は「働きたくない」と言わんばかりに赤と黒のチェックのブランケットの中で丸まったままだ。
 右足の近くに転がったスマートフォンがぶぉ、と鈍い音を鳴らす。
 誰も出ませんよ、と言わんばかりに足先でスマートフォンを突く。

 ずる休みをするのは、夏にノリと海に行った時以来だった。
 暑い中、真面目に授業を受けるより、海風を聞いてのんびりしていた方がマシだと言い出して、自転車で汗だくになりながら。ノリのえりあしから漂う汗と男とせっけんの匂いが今でもこの鼻腔の奥に残っているような気がして、思わず鼻をすん、と鳴らす。
 ノリなんて、もう知らない。
 夏の太陽の下で笑うノリの顔を思い出しかけて、慌てて頭を振る。
 ノリの笑顔はやばい。ちょろっと思い出しただけで体中が沸騰したみたいに熱くなって、冷静じゃいられなくなりそうになる。
 ノリなんてーー。
 
 と、家のインターフォンが鳴り響いた。
 ……家には私しかいない。いいや、居留守使っちゃえ。
 ぴんぽん、ぴんぽーん。インターフォンはなおも鳴ったけど、私は知りません、と言わんばかりにブランケットを頭から被った。
 すると、ことん、とポストに何か入れられる音がした。ダイレクトメールか何かかな。そう思った私の耳に、ちりん、と聞き覚えあるベルの音が聞こえてきた。
 ノリの自転車のベルの音……。
 はっとしてブランケットを取り払うと、慌てて下に降りて玄関のドアを開け放った。ポストの隙間からのぞくのは私の好きな鳩のシールを貼った白い封筒。その更に遠くに、ノリの坊主頭が見えた。
「の……」
 名前を呼ぼうとしたけど、途中で声が喉の奥へ逃げて行ってしまった。
 まだ私の中の「意固地」が捻くれているんだろうか。
 だけど、ノリは私の声に反応したかのように振り向いた。しょぼくれた黒い二つの瞳が、私をじいっと見つめている。
 ふと、ポストに入れっぱなしの封筒を思い出して、それに手を伸ばした。
 薄くて軽いそれを開けてると、いつか嗅いだ潮の香りがした。
 あ……海の匂いだ。
 さらさら、とささやかな砂の音と共に現われた二つ折りの手紙には、一言だけ記されている。
「ごめん」
 お世辞にも綺麗とは言えない三文字に、私の脳裏であの日聞いたさざ波が蘇る。
『ごめんってば』
 何が理由か、もう忘れてしまったけれど。拗ねた私に、ノリが耳元でそう囁いたんだ。誠意が無い、と唇を尖らせると、足下の砂でたくさんの「ごめん」を書き綴ったんだっけ。
 あれから、何度もケンカしてばかりだった私たち。
 その度にノリがあの砂浜に書いたよりも多くの「ごめん」を言ってくれたんだっけ。

「……ごめんは、私だよ」
 ちりん、とまたベルを鳴らして近づいてくるノリに、私はまっすぐに視線を向けて呟いた。
「ごめんね、ノリ」
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